医療現場の人手不足や業務の複雑化が深刻化する中、ICT・DX の推進は医療機関にとって不可欠な取り組みとなっている。
今回の診療報酬見直 しでは、デジタル技術を活用した業務効率化や負担軽減を強力に後押しする内容が明確に打ち出された。
まず、看護業務では見守りシステムや記録支援、情報共有ツールなどの ICT 機器を組織的に活用することで、看護職員の配置基準を柔軟化できるようになる。これにより、限られた人員でも質を維持しながら効率的な病棟運営が可能となる。また、AI を含むデジタルツールの導入は、記録や情報整理の負担を大幅に軽減し、患者ケアに専念できる時間の確保につながる。
医師事務作業補助に関しても、ICT の活用度合いに応じて人員配置基準が柔軟化され、医師の働き方改革に資する仕組みが整えられる。さらに、診療にかかる様々な様式の簡素化、署名・押印のデジタル化、施設基準に関する届出の見直しなど、医療DX の基盤を整備する取り組みも進められる。
勤務計画作成に用いられる「様式9」についても、現場の業務実態を踏まえ たルールの見直しが行われ、データ管理の効率化と精度向上が期待される。
これらの改革は、医療 DX を単なるデジタル化にとどめず、業務効率化・働き方改革・医療の質向上を同時に実現するための実践的な一歩である。デジタル技術を軸にした医療体制の再構築が進む中、現場負担を軽減しながら持続可能な医療提供体制を確保するための鍵は、まさに ICT・DX の積極的な活用にある。
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第643回)令和8年21日
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68946.html
PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001637094.pdf P6~8