国が推進する「病床転換助成事業」は、医療機関が有する療養病床を介護保険施設などへ転換する際の整備費用を、都道府県が助成する仕組みです。これは高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、地域医療構想を推進し、医療と介護の連携を強化する重要な役割を担っています。
事業の継続と期限の延長
現行の地域医療構想の取り組みが令和8年度も継続され、新たな地域医療構想が令和9年度から順次開始されることを踏まえ、病床転換助成事業は令和8年度以降も継続されます。新規申請期限は、医療機関の準備期間を考慮し、令和11年度末(2030年3月末)まで延長される方針です。これにより、複数年度にわたる転換事業は最長で令和14年度末(2033年3月末)まで助成の対象となります。
対象病床の要件と補助単価の見直し
事業の継続に加えて、実態調査・効果検証の結果を踏まえた見直しが提案されています。
1.対象病床の拡大
現在、原則として療養病床に限定されている助成対象を、地域医療構想における機能分化・連携の推進、及び依然として見込まれる転換ニーズを考慮し、一般病床すべてに拡大することが検討されます。介護医療院への転換実績においても、一般病床からの転換ニーズが一定数確認されていることなどが理由です。
2.補助単価の引き上げ
平成20年度の事業開始以来変更されておらず、実態調査で低さが課題として挙げられていた補助単価について、増額が提案されています。
改修:現行50万円 → 20万円
創設:現行100万円 → 240万円
改築:現行120万円 → 300万円
これらの見直しを通じて、事業のさらなる活用を促し、新たな地域医療構想の円滑な移行と、医療費適正化の推進に貢献することが期待されます。今後は、期限における事業終了も視野に入れつつ、一層の周知が図られる方針です。

出典: 第199回社会保障審議会医療保険部会 令和7年10月2日開催
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64202.html
PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001572770.pdf