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認知症とは、脳の機能が低下し、生活に支障をきたす状態を指します。その原因はさまざまですが、最も多いのがアルツハイマー病に代表される「変性疾患」で、脳の神経細胞が徐々に死んでいく病気です。また、脳梗塞などが原因で起こる脳血管性認知症も多く見られます。
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」に分けられます。
中核症状には、新しい出来事を覚えられない記憶障害や、時間や場所が分からなくなる見当識障害、物事を計画・実行できなくなる実行機能障害などがあります。これらは脳の直接的な損傷によって引き起こされます。一方、周辺症状は、本人の性格や環境などが複雑に絡み合い、不安やうつ、妄想といった形で現れることがあります。
私たちが認知症の人と向き合う上で大切なのは、彼らの心の奥底を理解することです。「自覚がない」と誤解されがちですが、多くの場合、ご本人が最初に異変に気づき、人知れず不安や悲しみを抱えています。ときに「私は忘れていない!」と強く主張するのは、その不安から心を守るための防衛反応なのです。
認知症の人への支援は、物理的な手助けだけでなく、心に寄り添うことが重要です。彼らの障害をさりげなく補う「人間杖」となり、温かく見守る「心のバリアフリー」を築くこと。そうすることで、認知症になっても安心して暮らせる社会が実現します。

出典:厚生労働省 政策レポート
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