訪問入浴介護は重度要介護者を支える重要な在宅サービスだが、事業所数と利用者数は減少傾向にある。利用者の多くが医療的ケアを必要とし、人材不足や運営負担が課題となる中、安定的なサービス提供体制の確保が求められている。
厚生労働省の資料によると、訪問入浴介護は、自宅での入浴が困難な要介護者に対し、専用の浴槽を用いて入浴支援を行うサービスであり、利用者の身体の清潔保持や心身機能の維持に重要な役割を担っている。
一方で、サービス提供体制を取り巻く環境は厳しさを増している。訪問入浴介護の請求事業所数は長期的に減少傾向にあり、令和7年度時点で1,862事業所となった。利用者数も約6万6,200人まで減少しているが、利用者の約9割が要介護3以上の中重度者で占められており、医療的ケアを必要とするケースも多い。実際に、利用者の約66%が訪問診療や訪問看護などによる日常的な医療的ケアを受けている状況にある。
こうした利用者像の変化に伴い、訪問入浴介護事業所には高度な対応力が求められている。サービス提供には看護職員を含む複数職種による対応が必要であり、利用者の急な体調変化による当日キャンセルも少なくない。そのため、運営効率の確保が難しく、人材確保も大きな課題となっている。休止・廃 止した事業所の理由としては「人員不足」が最も多く挙げられている。
令和6年度介護報酬改定では、看取り期の利用者への対応を評価する「看取り連携体制加算」が新設されたほか、認知症ケアに関する評価の見直しも行われた。経営面では収支差率が令和6年度決算で5.3%となっているものの、事業所数や利用者数の減少が続いており、重度者や医療ニーズの高い高齢者へのサービスを地域で安定的に提供し続けるための体制整備が今後の大きな課題となっている。
出典:第258回社会保障審議会介護給付費分科会 令和8年6月15日