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2025年7月4日

薬局は6割、病院は1割?電子処方箋普及のリアルと課題

紙の処方箋を電子化する「電子処方箋」は、2023年1月に運用が始まりました。これは、オンライン資格確認システムと連携し、患者さんの最新の処方・調剤情報をリアルタイムで共有することで、
医療の安全性と質の向上を目指す取り組みです。
2025年1月23日に開催された社会保障審議会医療保険部会(第192回)で取り上げられた内容を
紹介致します。

電子処方箋がもたらすメリット

電子処方箋の導入には、さまざまなメリットがあります。


  • 重複投薬・多剤服用リスクの軽減

    患者さんの処方履歴を医療機関と薬局が共有することで、不必要な薬の重複や

    飲み合わせによるリスクを減らせます。


  • 医療の安全性と質の向上

    正確な情報共有により、より適切な薬物療法が可能になります。


  • 災害時の迅速な情報確認

    災害時でも患者さんの処方情報をスムーズに確認でき、治療継続支援や緊急時の搬送受け入れ体制強化に役立ちます。


電子処方箋の普及状況と課題

電子処方箋の導入は進んでいるものの、現状では課題も存在します。


  • 普及率の差

 ・薬局は約6割強が導入済み

 ・医療機関は約1割弱にとどまる


  • 主な導入障壁

 ・初期導入費用

 ・システム改修の負担

 ・医療現場でのメリット実感の不足


今後の展望と厚生労働省の取り組み

厚生労働省は、電子処方箋の導入を加速させるため、以下の取り組みを進めています。


  • 補助・支援の継続

    医療情報化支援基金による補助や都道府県との連携による支援を継続。


  • 機能の絞り込み

    システムの安全運用を優先しつつ、当面は必要最小限の機能に絞り込み、導入のハードルを

    低下させる方針です。


  • 院内処方情報のプレ運用開始

    2025年1月23日からは、これまで院外処方箋のみだった情報共有範囲が拡大され、

    院内処方薬の情報も電子処方箋管理サービスで確認可能になりました。これにより、

    より高度な薬物療法管理が期待されます。

 

厚生労働省は、2025年夏を目途に新たな目標を見直し、医療機関へのきめ細やかな

フォローアップ、システムベンダーへの早期導入開発要請、そして国民への広報活動を強化する

方針です。電子処方箋のさらなる普及により、私たちの医療はより安全で質の高いものへと

進化していくでしょう。

 

第192回社会保障審議会医療保険部会

URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_54036.html

PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001382236.pdf

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