脳卒中医療は、発症から回復、社会復帰までの一貫した支援が重要です。第8次医療計画の見直しでは、この脳卒中医療体制のさらなる強化が図られます。
脳卒中は時間との勝負であり、発症から早期に適切な治療を開始することが重要です。このため、私たちは地域全体で一丸となり、脳卒中診療体制の強化を図っています。
まず、救急搬送の段階から、「病院前脳卒中スケール」といった指標を活用し、患者さんの状態に最も適した医療機関へ迅速に搬送できる体制を整備。医療機関の間でも密に連携し、必要に応じて円滑に転院搬送が行えるようにしています。さらに、地理的な制約によって専門的な治療を受けられないという課題を解消するため、デジタル技術を積極的に活用します。遠隔画像診断などを導入することで、専門医がいない地域でも、t-PA静注療法や機械的血栓回収療法といった専門治療を、必要な患者さんが迅速に受けられるようになります。これにより、専門治療が可能な病院への転院搬送も、画像伝送などを利用してよりスムーズになります。
急性期治療後は、切れ目のない医療を提供するため、回復期から在宅までを視野に入れた体制を構築。重篤な障害を持つ患者さんを受け入れられる回復期病院の体制を強化するとともに、医療と介護・福祉が連携した多職種での支援を推進します。また、患者さんが社会復帰できるよう、就労支援の専門家と連携し、仕事と治療の両立をサポートするなど、回復期・維持期、そして在宅復帰・就労支援まで、総合的なサポート体制を強化しています。
これらの見直しにより、脳卒中患者が質の高い医療を公平に受けられ、安心して社会生活に戻れるよう、医療提供体制全体の強化が進められます。

出典:第98回社会保障審議会医療部会
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000210433_00041.html