認知症グループホームは、地域における認知症ケアの拠点としての役割を強化するため、令和3年度の介護報酬改定で大幅な見直しが行われました。特に、在宅高齢者の緊急時ニーズへの対応強化と、事業運営の柔軟性・医療対応力の向上が柱となっています。
緊急時短期利用の要件緩和で、宿泊ニーズに対応
在宅の認知症高齢者を支えるため、「緊急時短期利用」(定員を超えての短期利用)の受け入れ要件が緩和されました。
受け入れ人数:「1事業所1名まで」から、サービスが実施される単位である「1ユニット1名まで」に拡大。
利用日数:「7日以内」を原則としつつ、利用者家族の疾病などやむを得ない事情がある場合には「14日以内」まで認められるようになりました。
部屋の要件:従来の「個室」に加え、「おおむね7.43㎡/人でプライバシーに配慮した個室的なしつらえ」が確保される場合は、個室以外も利用可能と柔軟化されました。
これにより、より多くの緊急性の高い宿泊ニーズに対応できる体制が整います。
地域特性に応じた柔軟な運営と医療連携の強化
また、地域の実情に応じたサービスの整備・提供を促進するため、グループホームのユニット数が「原則1または2、地域の実情により3」とされていたものが、「1以上3以下」と弾力化されました。
さらに、医療ニーズのある入居者の積極的な受け入れを促進するため、医療連携体制加算(Ⅱ)・(Ⅲ)の算定要件が見直されました。これまでは喀痰吸引や経腸栄養が主な要件でしたが、これに加えて人工呼吸器の使用、中心静脈注射、人工腎臓、常時モニター測定など、多様な医療的ケアが必要な利用者の受け入れ実績も評価対象に追加され、重度化しても住み慣れた地域での生活を継続できる環境整備が進められます。

出典:令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)資料(令和5年4月19日)
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000162533_00002.html