居宅等における対応
地域包括ケアシステムの推進において、かかりつけ医機能と在宅医療の充実は重要な要素となっています。
かかりつけ医機能に関する施設調査の結果を見ると、「認知症に関する助言や指導を行う」機能を有している施設は、診療所が53.1%と、病院の44.3%に比べて高い割合を示しています。これは、認知症ケアにおいて、地域に密着した診療所の役割が大きいことを示唆します。
一方で、かかりつけ医に求める役割として患者側は、「必要な時に専門医を紹介してくれる」が73.3%と最も高く、「認知症に関する助言や指導」を求める割合は15.2%にとどまっており、医療機関側が持つ機能と患者のニーズとの間に乖離も見られます。
また、在宅医療の分野では、訪問診療を受けている患者の約7割が、認知症高齢者の日常生活自立度がランクⅠ以上(日常生活にほぼ支障がないか、家庭外・家庭内で支障が見られる程度)であることが示されています。これは、在宅で療養する患者において認知症ケアが重要であることを裏付けています。
こうした現状を踏まえ、平成30年度の診療報酬改定では、在宅患者訪問診療料や在宅時医学総合管理料などに、認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅡb以上の患者を対象とした包括的支援加算が新設されるなど、患者の状態に応じたきめ細やかな評価が進められています。さらに、介護保険分野でも、認知症専門ケア加算や認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設・見直しが行われ、地域での認知症対応力の強化が図られています。
地域全体で認知症高齢者を支えるためには、医療機関、特に診療所による認知症ケア機能の強化と、介護サービスとの連携が一層求められています。


出典:令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)資料(令和5年4月19日)
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000162533_00002.html