日本の医療提供体制は、DPC制度や多様な加算制度によって病院の機能分化が進んでいます。
一方で、地域ごとの医療資源の偏りという課題も浮上しています。
高度な医療を評価する加算
医療の質や体制を評価する加算として、「急性期充実体制加算」と
「総合入院体制加算」があります。これらは病院の専門化を促します。
急性期充実体制加算は、主に急性期一般入院料1の病院が対象で、24時間救急医療、
高度な手術実績、感染対策、短い平均在院日数などが求められます。
総合入院体制加算は、複数の診療科での入院医療提供が必須で、
急性期に特化した機能(外来縮小、回復期・慢性期病棟なしなど)や手術実績、
救急搬送件数などが要件です。
DPC制度と病院機能
DPC制度導入病院の約9割が急性期一般入院料を算定しており、
DPC制度は主に急性期医療を提供する大規模病院に普及しています。
特に「DPC特定病院群」は、厳格な要件を満たし、より高度で包括的な急性期医療を
提供しています。
地域医療圏の偏り
データからは、地域ごとの医療提供体制に明確な差が見られます。
人口20万人未満の二次医療圏では、約8割の医療圏で急性期充実体制加算、
総合入院体制加算のいずれも算定していなかった。
人 口20万人以上の二次医療圏では、9割以上の医療圏で、急性期充実体制加算又は
総合入院体制加算のいずれかを算定している病院があった。
これは、高度急性期医療を提供する病院が人口の多い都市部に集中していることを示しており、
地域ごとの医療資源の偏在が大きな課題です。
今後の展望
日本の病院は機能分化を進めつつも、地域による医療格差やDPC制度を通じた
機能強化が進んでいます。これらの動向が、今後の地域医療や患者さんの
医療アクセスにどう影響するか、引き続き注目が必要です。
令和7年度第6回入院・外来医療等の調査・評価分科会
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00276.html