予期せぬ災害に対し、国民の生命と健康を守るための医療継続を目指し、多岐にわたる取り組みが進められています。(令和5年5月12日第98回社会保障審議会医療部会)
災害時における連携と役割の明確化
災害発生時に備え、平時からの連携と役割分担の明確化が重要です。都道府県は、災害医療関係者と協力し、各機関の役割を明確にするとともに、医療機関同士の連携を強化します。災害拠点病院だけでなく、地域の中核を担う一般病院も「地域医療の砦」として、患者の診療を継続するための防災対策を徹底し、災害時には災害拠点病院と連携してそれぞれの機能に応じた医療提供を行います。
チーム医療と医療施設の防災対策
災害医療の現場では、DMAT(災害派遣医療チーム)やDPAT(災害派遣精神医療チーム)といった専門チームが迅速に活動できるよう、多職種連携を強化しています。これらのチームは、災害時だけでなく新興感染症発生時にも活躍します。また、豪雨や津波などに備え、医療機関は止水対策を含む浸水対策を徹底することが重要です。災害拠点病院では、止水板の設置や電気設備の移設といった対策を推進しています。
災害に備える「動く病院」
災害時の機動的な医療提供を可能にするため、医療コンテナの活用も進められています。自衛隊の野外手術システムや日本赤十字社のdERU(国内型緊急対応ユニット)などは、「動く病院」として被災地で迅速な医療提供を可能にします。医療機関のBCP(事業継続計画)も、地域全体で連携し、実効性の高い計画策定が求められています。
※dERUとは、仮設診療所設備とそれを運ぶトラック・自動昇降式コンテナと訓練された救護員、そしてそれらを円滑に運用するためのシステムの総称です。

出典:第98回社会保障審議会医療部会
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000210433_00041.html
PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001096426.pdf