日本は、人口減少と急速な高齢化という大きな転換期にあり、持続可能で質の高い医療サービスの
提供が課題です。厚生労働省は、令和7年6月25日に行われた第10回医師養成過程を通じた医師の
偏在対策等に関する検討会の中でこの人口動態の変化に対応し、
医師の偏在解消に向けた戦略を進めています。
迫りくる人口構造の変化と医療需要の課題
日本の総人口は2070年には9,000万人を下回り、高齢化率は39%に達すると推計されています。
人口は、85歳以上を中心に高齢者数は2040年頃のピークまで増加見込みです。
これは、生産年齢人口の急減と、85歳以上の超高齢者人口の増加によって特徴づけられます。
後者は、救急搬送の増加と在宅医療の需要が高まります。
日本社会の高齢化は、地域によって異なる顔を見せています。
大都市では高齢者が増え続ける一方、過疎地では働き手も高齢者も減る一方です。
こうした地域の事情に合わせた医療体制を築くことが、今、強く求められています。
この人口構造の変化は、医療従事者の確保に大きな課題をもたらしています。
医師の地域偏在はますます深刻化し、特に過疎地では診療所の医師が高齢化し後継ぎが
いないため、診療所数は人口が少ない二次医療圏での減少傾向が懸念されます。
また、医師だけでなく、歯科医師や看護師といった他の医療従事者の確保も、
今後の医療を支える上では欠かせない課題です。将来にわたって医療提供体制を確保するため、
その養成のあり方や偏在等の課題、専門性を発揮した効果的な活用が指摘されています。
総合的な改革によって、より質の高い医療やケアを効率的に提供する体制を
構築していくことが重要です。
次回に続く
第10回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会