総務省消防庁の報告書「令和6年版 救急業務の概況」から、2023年(令和5年)の日本の救急医療の実態が見えてきました。高齢化の進展が救急現場に大きな影響を与えています。
救急出動と搬送の現状
2023年の日本の救急車の出動件数は、763万件を超えて過去最多を記録しました。
これは、1日に約2万件、およそ4.1秒に1回の割合で救急車が出動している計算になります。搬送された人の数も664万人を超え、そのうち65歳以上の高齢者が6割以上を占めています。
搬送理由として最も多いのは「急病」ですが、搬送された方の約半数(48.5%)は、緊急性の低い軽症でした。このような状況から、現場に到着するまでに全国平均で約10.0分、病院に収容されるまでには約45.6分かかるなど、迅速な対応が難しくなっている現状があります。
救急隊員は全国で約6万7,000人おり、そのうち約3万1,000人が救急救命士として活躍しています。しかし、限られた医療資源を有効に活用するためには、私たち一人ひとりの行動も重要です。
たとえば、心肺機能が停止した傷病者に対して、一般市民による応急手当が実施された場合の1か月後の生存率は、実施されなかった場合と比べて約1.3倍高いというデータがあります。救急車の適正な利用や、いざという時のための応急手当の知識を身につけることが、救える命を増やすことにつながります。
今回の報告書は、救急需要の増加、特に高齢者の搬送が多い現状を示しており、救急車の適正利用や一般市民による応急手当の重要性が改めて浮き彫りになっています。
出典:総務省消防庁 令和6年版 救急救助の現況
URL: https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-6.html
PDF: https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/items/kkkg_r06_01_kyukyu.pdf
・9月9日は、救急の日です。
「救急の日」及び「救急医療週間」の普及啓発のために、ポスターを作成されています。
職場での普及啓発等にてご活用ください。
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/kyukyunohi/items/r6_kyukyunohi_poster.jpg