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救急医療の現場では、救急救命士が実施できる処置の範囲が年々拡大しています。2003年の除細動包括指示化から始まり、気管挿管、アドレナリン投与、そして心肺停止前の静脈路確保など、その役割は多岐にわたります。現在では5つの特定行為を含む計33項目が認められており、2021年からは病院内での処置も可能となりました。
アナフィラキシー対応の進化:エピペン投与の拡大
現在注目されているのが、アナフィラキシーショックに対するエピペン®(自己注射型アドレナリン製剤)の投与対象拡大です。これまでエピペン®を所持していない患者への救急救命士による投与はできませんでしたが、この状況を変えるための取り組みが進められています。
2023年には大規模な観察研究が行われ、救急救命士がアナフィラキシーの診断やアドレナリンの適応を非常に高い精度で判断できることが示されました。この結果は、救急救命士の専門性の高さを裏付けるものです。研究結果を受け、2025年からは全国26のMC協議会、77の消防本部が参加する実証事業がスタートします。この事業では、救急救命士への専門講習、MC医師との連携強化を通じて、安全性と有効性を慎重に検証し、この処置が「特定行為」として法的に位置づけられることを目指します。
今後の展望と期待
アナフィラキシーショックへのエピペン®投与に加え、心肺停止時のアドレナリン投与や、外傷性出血性ショックに対する薬剤投与などが検討されています。これらの導入は、有効性や安全性を慎重に評価した上で進められます。
救命士がより高度な処置を行えるようになることで、一刻を争う現場での救命活動が強化され、多くの命が救われることが期待されます。
出典:第1回 全国メディカルコントロール協議会連絡会
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