2025年6月に成立した年金制度改正法は、日本の社会保障制度における大きな転換点となりました。改正の柱の一つが、被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大です。これにより、パートやアルバイトなど短時間労働者の働き方や生活設計に大きな影響が及びます。
改正の背景
少子高齢化や働き方の多様化により、非正規雇用者が増加する中、従来の制度では多くの短時間労働者が社会保険に加入できず、将来の年金が国民年金のみというケースが多くありました。今回の改正は、こうした格差を是正し、すべての働く人に安定した老後を保障することを目的としています。
主な改正ポイント
賃金要件の撤廃(106万円の壁解消)
これまで短時間労働者が被用者保険に加入するには、月額賃 金88,000円以上(年収約106
万円)が必要でした。この要件は2026年10月から撤廃され、週20時間以上働く人は賃金
に関係なく加入対象となります。
企業規模要件の段階的撤廃
現行では従業員数51人以上の企業が対象ですが、2027年以降段階的に縮小し、最終的に
は撤廃されます。これにより、中小企業や個人事業所でも適用が広がります。
個人事業所への適用拡大
常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消し、被用者保険の対象に追加。
負担軽減措置
新たに加入する労働者の保険料負担を緩和するため、3年間限定で本人負担を最大50%
軽減する特例を導入。
影響とメリット
労働者側は、就業調整の必要がなくなり、労働時間を増やしやすくなる。将来の年金額増加や健康保険の給付充実。
企業側は、事務負担やコスト増が課題。政府は専門家派遣や助成制度で支援予定。
今後のスケジュール
2026年10月:賃金要件撤廃
2027年~2035年頃:企業規模要件を段階的に撤廃
個人事業所への適用:順次拡大。
この改正は、約200万人の労働者に影響を与えると見込まれ、日本の社会保障制度における大きな前進といえます。「106万円の壁」撤廃は、働き方改革と老後の安心を両立させる重要な一歩です。

出典: 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要
URL : https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
PDF : https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001496971.pdf