幅広い利用者に対応できる一方、費用負担や人員不足、重度化への対応など課題も抱える。今後は制度改善と地域連携により、さらなる機能強化が求められる。
小規模多機能型居宅介護は、柔軟なサービス提供が強みである一方、利用実態からはさまざまな課題も見えてくる。利用者像を詳しくみると、要介護1・2の軽度者が中心ではあるものの、要介護3以上の中重度者や認知症高齢者のニーズも高く、幅広い層に対応していることが分かる。
特に、「短時間で頻回な支援が必要な人」「日ごとに支援内容が変わる人」といった、従来のサービスでは対応が難しいケースにおいて、その価値が発揮されている。こうした柔軟性は、在宅生活を継続する上で重要な役割を果たしており、現場からもその意義が確認されている。
しかし、実際には利用に至らないケースも少なくない。軽度者では、包括報酬による費用の割高感が障壁となり、利用を控える傾向がある。また中重度者では、家族が施設入所を希望するケースや、事業所側が人員不足などにより受け入れ困難となるケースも見られる。
さらに、認知症の重度化や家族の介護負担の増大により、最終的に施設へ移行する利用者が一定数いる点も課題だ。特に、常時見守りが必要となる段階では、小規模多機能単体での対応の限界が指摘されている。
このように、小規模多機能型居宅介護は在宅支援の中核として大きな可能性を持ちながらも、制度面・運営面の両側面で改善の余地が残されている。今後は、地域資源との連携強化や人材確保、さらには利用しやすい報酬体系の検討などを通じて、その機能をより発揮できる環境整備が求められるだろう。

出典:第257回社会保障審議会介護給付費分科会 令和8年5月25日
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73207.html
PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001703591.pdf