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現在、日本の精神医療は「入院中心」から「地域生活中心」へと大きな転換期を迎えています。この改革を支える「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)」の実現には、質の高い医療提供体制の構築が不可欠です。
中央社会保険医療協議会で議論の焦点となっているのは、精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士といった多職種によるチーム医療の推進です。
これらの専門職による介入が、平均在院日数の短縮や在宅復帰率の向上に明確に寄与するデータがあることから、急性期入院料を含む病棟全体で、看護職員だけでなく、他の多職種も柔軟に配置できる仕組みの導入が検討されています。ただし、地域ごとの人材確保の難しさや、看護師の業務負担への配慮も欠かせません。
また、病床数の少ない精神科病院は経営が厳しい現状があるため、地域医療の維持・強化の観点から、病床削減と併せて外来や障害福祉サービスを一体的に提供する小規模病院の機能強化への適切な評価が求められています。
さらに、長期入院を是正し地域移行を促すため、人員配置基準の低い精神病棟入院基本料(18対1、20対1)の見直しは避けられない方向性です。
これらの議論は、精神医療の質を高め、患者が地域社会で自分らしく暮らす未来を実現するための、重要な取り組みと言えるでしょう。

出典:2025年10月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第622回
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66100.html
PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001585316.pdf
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