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2025年11月12日

選ばれる医療・福祉業界に向けて

 わが国の歴史で、はじめて女性の内閣総理大臣が誕生しました。ニュージーランドでは首相が産休を取った事例までありますからまだまだではありますが、ジェンダーギャップ指数が少しでも改善することを願うばかりです。


 さて、厚生労働省は毎年「働く女性の実情」という年次報告書を公表しています。これによると、令和6年の女性の就業者数は 3,082 万人と、前年に比べ 31 万人増加しているそうです。ちなみにコロナ前の令和元年と比較すると、女性の77万人増加に対して、男性は45万人の減少となっています。少子高齢化が進む中で、この傾向はさらに進んでいくでしょう。


 増えた労働者は、どの業界に行くのでしょうか。その答えは、年次報告書に「産業別雇用者数の対前年増減」という形で示されています。労働者が減っている男性については、製造業で10万人減(女性も1万人減)、運輸業・郵便業で4万人減(女性は1万人増)が主な内訳です。ですから「最近わが家に配達して来てくれる宅配便のドライバーさんが女性に変わった」という経験のある方も多いかと思います。


 そして31万人の内訳をみると、医療・福祉と、宿泊業・飲食サービス業が、いずれも6万人。そして情報通信業5万人、卸売業・サービス業4万人、(その他の)サービス業4万人、学術研究・専門・技術サービス業が4万人と続きます。医療・福祉で働く女性は675万人おり、全女性労働者の23.9%を占めます。しかし、増分だけを見ると2割を下回っている状況にありますから、データだけを見れば「医療・福祉を選んでもらいにくくなっている」という印象を受けるかもしれません。


 しかし筆者はこれは悲観すべき状況ではないと考えます。情報通信などの「理系っぽい職業」への女性進出が進んだ結果、相対的には、医療・福祉が漸減した、と理解するのが自然なのではないでしょうか。医療や福祉も増えてはいるのですから、前向きに受け取りたいものです。


 とはいえ、選択肢が多くなったのですから、女性・男性問わず「選ばれる努力」は今まで以上に必要になってきます。キャリアチェンジで他業種から医療や福祉に来てくれた人材には、まずは「来てくれてありがとう」というスタンスでお迎えしたいものです。


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