top of page

2026年2月25日

医師を支援する職種と、看護師を支援する職種はどこが異なるか
:「指示」と「指導」のはざまで

今回の診療報酬改定で、ようやく、医師の業務負荷に留まらず、看護師の業務負荷にもICTに通じて軽減を図る具体策が盛り込まれました。以前もなかったわけではありませんが、必ずしも明確なものではなかったので、大きな前進と捉えています。

 

医師事務作業補助者には、請負による配置が認められていません。個別具体的な指示がなければ業務が成り立たず、他方でこうした指示を請負先の労働者にはできないためです。

 

看護補助者の場合は、ここはやや幅があります。雇用形態によって「指示」できない方も含まれますので、その場合は「指導」を通じて病院の意図を伝えていくことになっていました。

 

日本は伝統的に、ジョブディスクリプションが明確ではありません。他方、空気を読む力にずば抜けて長けているのが日本です。これまで「指示」と「指導」の違いをあまり明確に意識しなくても、看護界はどうにか業務遂行できてきました。

 

他方、これまでのICTは、「指示」がなければ動かないのが基本でした。ですから「指示」が不明確なものは適切に処理されず、それが看護分野のICT導入が進みにくかった一因であると筆者は考えています。長年、看護師の勤務表ソフトがユーザーニーズを満たせず苦労してきた原因も、そもそも指示が(コンピュータにとっては)不明確だという点に尽きるといっていいでしょう。

 

しかし昨今のAIは、「指導」レベルのふわっとした伝え方でも、ある程度は忖度できてしまいます(感情はなくて類推しているだけなので、それを「忖度」と呼ぶのはちょっと違うかもしれませんが)。要件定義は不明確だけど、過去のデータから類推して「こんな感じ」でいいのでは、という処理がAIにはできてしまうからです。それをブラックボックスというのでしょうが、出力されたものに満足できるなら、そんなことを気にする意味はほとんどありません。

 

だから看護分野のDXは、今後急速に進行すると思われます。でも、人間には感情があるので、頭の中や心の中にあることをあまりにストレートに言語化されると、ちょっとイラっとするものです。そんな看護界が、こうしたAIの特性にどんな反応をしながらDXを進めていくのかは、私としても興味津々です。



NPO法人
医療介護タスクシフト・シェア振興会
〒104‑0031 東京都中央区京橋1-1-1-八重洲ダイビル9階 
bottom of page